コードを書くだけのAIは、もう過去の話です。OpenAIが2026年4月から5月にかけて立て続けに発表したアップデートにより、Codexは「ほぼあらゆることができる」AIエージェントへと劇的に生まれ変わりました。画面を見て、マウスをクリックして、キーボードを打つ――そんな「人間がPCでやること」をそのままAIが肩代わりする時代が、いよいよ現実のものになっています。個人的に、これは単なるアップデートではなく、ソフトウェア開発の概念そのものが塗り替わるターニングポイントだと感じています。
何が起きたのか?最新アップデートを徹底解説

2026年4月16日、OpenAIはCodexの大型アップデートとして「Codex for (almost) everything」を発表しました。一言でいうと、Codexが、コード生成中心の支援から、開発ワークフロー全体を支援する方向に広がったアップデートです。
このアップデートの目玉は大きく6つあります。
① Computer Use(コンピュータ操作機能)
今回いちばんインパクトが大きいのは「Computer use」です。Codexが画面を見て、クリックして、入力できるようになりました。OpenAIによると、Codexは自分専用のカーソルでコンピュータを操作でき、複数エージェントをMac上で並列に動かしてもユーザー自身の作業を邪魔しない設計になっています。これにより、フロントエンドの見た目を変えて確認したり、APIを持たないツール上での反復作業をCodexに任せたりと、コード生成の枠を超えた活用が広がります。
② アプリ内ブラウザ(In-app Browser)
Codexアプリには新たに「アプリ内ブラウザ」が追加されました。Webページ上に対して直接コメントを書き込み、エージェントへピンポイントで指示できる仕組みです。OpenAIは、現時点ではフロントエンド開発やゲーム開発での活用を想定しており、今後はlocalhost上のWebアプリを超えて、ブラウザ操作全体へ拡張していく方針を示しています。
③ 画像生成との統合
Codexは「gpt-image-1.5」を使った「画像生成」にも対応しました。スクリーンショットやコードと組み合わせながら、プロダクトのコンセプトビジュアル、フロントエンドデザイン、モックアップ、ゲーム向けビジュアルなどを同じワークフローの中で作れるようになります。実装と画像生成を別ツールで行う必要がなくなるため、個人開発者にとって特に恩恵が大きい機能です。
④ 90以上のプラグイン追加
OpenAIは今回、90以上の「追加プラグイン」も発表しました。これらはスキル、アプリ連携、MCPサーバー(外部ツールとAIをつなぐ仕組み)を組み合わせたもので、Codexが外部ツールから文脈を集めたり、アクションを起こしたりできる範囲が広がります。Atlassian Rovo、CircleCI、GitLab Issues、Microsoft Suiteなどが例として挙げられています。
⑤ メモリ機能とコンテキスト認識サジェスト
「Context-Aware Suggestions」によって、Codexが中断した作業の続きを提案してくれるようになりました。OpenAIによれば、Codexはプロジェクト、接続済みプラグイン、Memoryの文脈を使って、仕事の始め方や再開ポイントを提案できるようになります。例として、Google Docs上の未対応コメントを見つけ、SlackやNotion、コードベースから関連文脈を引っ張ってきて、優先順位付きのアクションリストを出すことが紹介されています。
⑥ 自動化(Automations)と長期タスク継続
自動化機能も拡張され、既存の会話スレッドを再利用できるようになりました。これにより、以前に構築されたコンテキストが保持されます。Codexが作業スケジュールを設定し、自動的に起動して、数日または数週間にわたる長期タスクを継続できます。

2026年5月7日、OpenAIはCodex for Chromeを正式にローンチしました。これはChromeの拡張機能として、MacおよびPC上のブラウザで直接Codexを動かせるものです。
この拡張機能により、CodexはブラウザでWebアプリのテスト、複数タブをまたいだコンテキスト収集、WebのDevTools活用などを、ユーザーのブラウザを乗っ取ることなく実行できます。
これほど急ピッチでアップデートが続く背景には、ユーザー数の急増があります。OpenAIによると、Codexの週間アクティブユーザー数は400万人を超えており、年初から8倍に増加しています。競合のAnthropicがClaude Code Desktopを矢継ぎ早に強化する中、OpenAIも猛スピードで機能拡充を続けている状況です。
日本との接点・日本への影響

今回のアップデートで個人的に重視しているのが、日本語対応の充実度です。日本語での自然言語指示(プロンプト)にも高度に対応しているため、英語に不慣れなメンバーでも直感的に操作可能です。「このバグを直して」「このファイルをPDFに変換して」といった日本語の指示をそのまま入力できる点は、日本のユーザーにとって大きなアドバンテージです。
日本企業の間でも、Codexを自社の業務フローに組み込む実践例が共有され始めています。例えば日程調整SaaSの事例では、営業フォローメールの作成から文面への日程調整リンクの自動挿入、希望日時の選択による社内カレンダー登録、Web会議URLの発行までの一連のワークフローをCodexエージェントに完全自動化させる運用が紹介されました。
さらに、非エンジニアへの裾野も広がりつつあります。「エンジニアに頼まないと作れなかったもの」が、日本語で指示するだけで作れる時代になりました。エンジニア不足に悩む日本の中小企業にとって、Codexはまさに救世主になり得る存在です。
エンジニア不足が深刻化する中、DXを前進させる手段として注目を集めているのが、OpenAIのAIプログラミング支援ツール「Codex」です。日本では「2025年の崖」と言われる老朽化したシステムのリプレース課題がいまだ山積みですが、Codexのような自律型エージェントが開発工数を劇的に下げることで、こうしたDX課題の解消が加速する可能性があります。
プランについては、Codexは現在ChatGPT Plus、Pro、Business、Enterprise/Eduプランに含まれており、期間限定でChatGPT無料版とGoプランでも利用できます。月額20ドル(約3,000円)のPlusプランから使えるため、個人クリエイターや副業エンジニアにとってもハードルは低いと言えます。
OpenAIは将来的に、ChatGPT、Codex、そしてAIブラウザのAtlasを統合した「一体型スーパーアプリ」を計画しています。Anthropic社のClaude Codeなど競合がひしめく「AIエージェント戦国時代」において、コード以外のデータ分析や汎用タスク、外部SaaSとの連携といった複雑なワークフローを1つのプラットフォームで構築・実行できるのは、自律型エージェントならではの強みです。
まとめ・個人クリエイターとしての感想
今回のCodexの進化を一言で表すなら、「コーディングツールからパソコン丸ごとお任せツールへの脱皮」でしょう。私はこれまでコード補完やチャット形式のAI支援にとどまっていた感覚がありましたが、Computer UseやChrome拡張機能の登場により、個人クリエイターでも「企画だけして、実装はCodexに」という働き方が現実的になってきたと感じています。
ただし、個人的に気になるのはセキュリティと情報管理の問題です。ChatGPTはOpenAIのサーバーでデータを処理するため、個人情報保護法・GDPRの観点から、機密情報の取り扱いには注意が必要です。会社のコードや顧客データを扱う際は、Enterprise契約など適切なプランを選ぶことが重要です。
AIエージェント競争はまだまだ始まったばかり。Codexがこれからどこまで「何でも屋」になっていくのか、くまらぼでは引き続き追いかけていきます。
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